卓話
2024.04.23
薬物乱用防止について
卓話発表者:小川 芳男 会員 ゲストスピーカー 大阪府薬物乱用防止教育講師 大内 啓子
皆様こんにちは。
まず最初に、昨年の10月1日開催の薬物乱用防止対話集会に多大なご支援をいただき、また多くの皆様にご参加いただきましたことを心より感謝申し上げます。ありがとうございました。また、この度貴重なお時間をいただきお話しさせていただき本当にありがとうございます。
さて、薬物乱用防止活助が各地で行われているにもかかわらず、日本の薬物事情の改善はほとんど見られず、東京のトー横や大阪のグリ下に集まる若者の問題は後を絶ちません。そこには必す薬物や売春、オーバードース、デートレイプドラッグといった問題が常に付きまとっております。
南米のサンパウロの繁華街では道路いっぱいの依存者がいます。最近アメリカに行った人の話ではやはり依存者が集まっている所があり、ゴミの散乱した中で異様な風景を見た、とても近づくことが山来なかったと言われていました。
日本での薬物問題は世界に比べて非常に少ないと言われていますが、その芽は確実に増えているので目を背けて放置してはいけないと思っております。大麻がSNS の皆及で入手が容易になり増加の一途をたどっているのが現状で、しかも20歳未満の検挙者が増え、大阪ではここ2年間全同ワーストワンになっており、小学生の検挙者も出ています。
2023年8月3日の新聞に「学生、スポーツむしばむ大麻」と言う記事が載っていました。その中で大麻の乱用は若い世代に確実に広がっている。全国の大麻事件で2022年に逮捕書類送検された人が5342名でそのうち 20代以下が3765名7割を占めていて、この5年間で約2倍に増えているというデーターが掲載されていました。この年の11月~12月に単純所持で摘発された 911名に大麻の有害性を聞いたところ「全くない」「あまりない」との答えがほとんどで「日本は遅れている」という認識が広がっていると思われます。大人の中でも「アメリカのある州に行ったとき大麻を1度使ったけれど、おいしくないし何の変りもなかった、大丈夫、何をそんなに心配したりダメ・ゼッタイなくてもいいのと違いますか?と言われる人がおられます。しかし使った時に得られる「嫌なことが忘れられる」と感じさらに深みにはまって依存していく生きづらさを持っている人が多くいることを忘れてほしくないのです。
ここ数年、もう一つ大きな問題になっているオーバードーズです。高校生にお話しさせていただく機会がありますが、校長先生が必ずオーバードーズについてもお話ししてくださり、今大麻よりこの問題の方が深刻ですと言われます。法に触れないし気軽に飲めるという。一般の薬同で以前は制限なく手に入りました。現在は制限がありますが、複数の薬局をはしごして乱用の恐れのある市販薬を買って…度に 1400錠の薬を飲み昏睡状想で救急搬送される若者が出るようになり法規制がどんどん強くなっている、とは言え若年層の乱用は60人に1人いるという統計があります。どういう生き方をしていけばいいのか?何に困っているのかも言葉にすることが出来ない、そんな中で薬に頼ることしかできない生きづらさを持った子供たち、生きるためにだましたまし薬を使っている子供たちへのアプローチの難しさを日々感じております。
2023年12月8日の新聞に、大麻使用罪が新設されたことが掲載されました。大味を麻薬取締法の対象として不正な所持や使用への罰則を設けるとありました。大麻成分のTHC「テトラヒドロカンナビノール』と害が少なく抗てんかん作用を持つCBD「カンナビジオール」これらが薬事承認されることが分かっております。
大麻草由来のCBDを使った製品が法で認められ、ストレス解消やリラックス効果などを目的にドリンクになったり、リキッドや化粧品、グミや食品などどんどん増えているのが現状ですが、これらの製品の一部にはTHCが含まれているいるものがあり厚生労働省は基準値を設けて監視を強めております。最近自助販売機の中にCBDXというドリンクが登場いたしました。1本500円するのですがXって何を表すのか本当に分かりません。厚生労働省では電子タバコの中に入っているTHCやCBD 製品に入っているTHCなど今神経をとがらせている製品です。
この様に鼬ごっこの法の隙間をかいくぐって増加の一途をたどる薬物に対してどのようにすればよいのか悩むところですが、私は徹底的な寄り添いしか道はないと考えております。徹底的な寄り添い、言葉は簡単ですが本当に難しいと思います。この問題に取り組まれている医師やボランティアがおられます。昨年の大東市薬物乱用防止対話集会のメイン講師の成瀬先生はその第一人者です。先生はこう言われます。「薬物に出会っていなかったらこの人たちの命はなかったのです。こうして生きておられるでしょ、みんないい子なんですよ」と、本当に難しいです。
地域全体が縛りを持つのではなくて、生きづらさを持っている人にそっと寄り添いができる社会作りが不可だと考えています。ダメ・ゼッタイは必要です。
私たち大東市薬物乱用防止指導会では本年度第3回薬物乱用防止対話集会を開催する予定です。昨年度に引き続きご支援くださいますようお願い申し上げ終わりたいと思います。ありがとうございました。
